GブレイカーのSpecNote

日々の雑記とメモ。スペックがわかるほど量を書いてませんがね。

今日のニュース ラオスのダム災害からダムを学ぶ

 昔、創作でダムを舞台にした話を書こうとダム観光に行ったことがある。エネルギー関係の勉強をした人間でもあるため、発電も含めて興味があった。放流してなかったし内部見学は出来なかったのだけれど。
 奥只見ダム田子倉ダムだ。両者とも発電用の重力コンクリート式ダムで巨大。田子倉ダム下流側すぐに只見ダムがある。
 
 只見ダムはロックフィルダムだ。
 
 
 そんなわけで今日のニュースは、ラオス東南部アッタプー県に建設中のダム『セーピアン・セーナムノイダム(Xepian-Xe Nam Noy Dam)』のお話……をしようと思ったんだけど、ちょっと遅かった(^^;)
 
 前述の通りダムに興味がある。とは言っても当時ネットで調べた程度の錆びついた知識しかないので、改めて調べることも含めてちょうどいい機会だと思って(不謹慎ですみません)、事故当日にはダムの名前、形式、規模、周辺地域の風土を調べたりしていたのだが……いかんせん報道サイドに知ってる人間が少なかったのだろう。調べても全然出てこないし、同じ内容ばかり。
 海外サイトを調べようにも、ラオスのニュースサイトなんて知らないし、検索ワードも思いつかなかった。もうちょっと本腰入れて真面目にやればできなくもなかっただろうが……もう少し情報が出てから調べて、しっかり書こうと思っていた。
 
 完全に忘れていた。
 
 そして当然先を越されてしまった(笑)。なので興味ある人は↓の他所様のブログさんを読んでね! 僕が知りたかったことは全部書いてあるよ。特にどれだけの水が流れたか、を表す衛星写真はお「恐ろしい」の一言です。
   
・『平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図』さん
 URL:https://blog.goo.ne.jp/efraym/e/c85cd8cdcaa556964c140951cabfc7e4
 
 ちなみにできたてホヤホヤのWikipedia
 Wikiで使われたのでこのブログではセーピアン・セーナムノイダムと表現することにした。
 URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%A0%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%A0
 
 それ以外にも参考になるニュースサイトをあげると
・『BLOGOS』
 URL:http://blogos.com/article/314299/
 
 
 さて、紹介しておしまい、というのもマヌケなので、ならば自分なりにも考えてみましょう。勉強しながらね。
 
  
ロックフィルダムとは? 発電についても
 上記の平御幸さんによると、セーピアン・セーナムノイダムはロックフィルダムのようです。
 ロックフィルダムは読んで字の如し、石ころや岩などをたくさん集めて積み上げるように作ってあります。まぁFill(Filldam)ってのは英語で「いっぱいになる」「満たされる」なのですが、建築では「盛り土をする」という使い方をするようですね。
 一方、土でやるのをアースダムと言いますが、ロックフィルでも土を使ったりするし区分は曖昧みたいで、世界的には単に「フィルダム」というようですね。
 
 フィルダムにもいくつかパターンが分かれており、均一型やゾーン型などがあります。件のラオスのダムはフィルダムの均一型のようですね。心壁型は重力コンクリート式によく似てますね。
 はいWikipediaアースダムのページにわかりやすい方式の簡略図が載っているので目を通しておくことをオススメです。
 
・フィルダム 
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%A0
 
ロックフィルダム
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%A0

・アースダム
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%80%E3%83%A0
 
 
 日本での最大ロックフィルダム岐阜県徳山ダム。(堤高161m)
 最大アースダムは福島県羽鳥ダム。(堤高37.1m)
  (注:堤高はダムの地盤と接する位置からの長さ。地面からではない)

 以下、Wikipediaより引用。ロックフィルダムの長所と短所
 
地盤が堅固でなく、コンクリートダムの建設が困難な場合に建設されることが多い。ダム自体の体積が大きいため安定性がありアースダムよりは丈夫であるが、洪水による堤体越水には弱い。従って重力式コンクリートダムなどのように堤体中央部に洪水吐きを設けることができない。このため、左岸・右岸の何れかの山を掘削して洪水吐きを設けるのが一般的である。中にはトンネルを掘ってダム下流に放流するタイプの洪水吐きもある。
(私感:洪水による堤体越水に弱い――というのは溢れそうになったときに対処しにくいという意味でしょうか。セーピアン・セーナムノイダムは落差もあまりなさそうな場所ですし、フィルダムにするしかなかったのでしょうね。てっきり重力コンクリート式かと思ってましたが、考えてみれば地盤沈下するような場所なのだからそりゃそうか)
 
 徳山ダムはゾーン型(恐らく中央コア)。羽鳥ダムもゾーン型。フィルダムというと僕は均一型のイメージが強いですね(っていうか外見上ではゾーン型と見分けがつかなそう)。均一型とゾーン型は断面図で見ると横(つまり前後)に広いので落差が少なくて済みます。高低差が少ない土地に向いているということですね。同時に落差が少ないということは、下部の水圧は低いということだろうから、コンクリート並に頑丈にする必要はなさそう(コアはコンクリなんだろうけどネ)。横幅の取りやすさとかも関係しているのかも? このへんは書きながら簡単に調べる程度だと細かい利点が見つけられませんでした。宿題ですね。
 
 
■発電用ダムの構造と運用
 徳山ダムは水害対策で作られたダム。羽鳥ダムは灌漑(かんがい。農作物に使用するための水源)用ですが、セーピアン・セーナムノイダム(めんどくさいから以下セナムノイダムと略す)は発電用ですね。
 
 僕が行った只見ダムも発電用のロックフィルです(均一型かゾーン型かは調べてもわからなかった)。めちゃくちゃ小さくて(堤高30mくらいしかないらしいが、ダムの上から下流の水面までの見た目は10mあるのか?ってくらい)、土砂で作ったちょっとした堤防って感じ。特に昇ることも無く普通に散歩感覚で上を歩けます。五分あれば往復できる程度の幅。ちょっとオススメしたい。
 只見ダムには世界最大容量のバルブ水車があるとのこと。バルブ水車も読んで字の如く、バルブの中に水車があって、水流でぐるぐる回して発電する装置。水量に合わせて最適な羽の角度を取る。均一型フィルダムは恐らく横軸バルブ。ってか、只見は近くに展示館があり普通に横軸模型が置いてある。僕が行ったときは休館日だった気がする。見たかったなぁ。
 
 只見にある水車はカプラン水車。発明当時(1912年。一次大戦勃発直後)一般的だったらしい大容量水車のフランシス水車を落差を小さくしても発電容量を大きくするというわかりやすいアップグレードが行われた水車だそうです。ただし必要な水量はフランシスより大きいみたい。
 
・堤高(google画像検索)
 https://www.google.com/search?q=%E5%A0%A4%E9%AB%98&num=20&client=firefox-b&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi7xoCF88ncAhUQOrwKHRcPDYkQ_AUIDCgD&biw=1224&bih=904#imgrc=_
 
 滋賀県公式 - 絵付きダム用語解説
 図で説明してくれるので結構おもしろいですね。ボリュームたっぷりで読むのも探すのも大変ではあるので上記はGoogle検索にしました。
 http://www.pref.shiga.lg.jp/h/kasen/yougo_kaisetu.html
 
東北電力
 バルブ水車の説明。これも図があるのでわかりやすい。
 http://www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2002/20606a.htm
 
・只見ダム
 下方にカプラン水車について触れている。
 http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=0541
 
・発電水車 関西電力-水力発電の概要
 フランシスよりカプランの方が羽の枚数が少ないのが写真でわかる。…形状的に男の子を想像してしまうw
 http://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/newenergy/water/shikumi/waterwheel.html
 
 
 *
 
 今回のダムについてのお勉強はこんなところでしょうか。
 セナムノイダムの発電方式については、平御幸さんのブログにある概要図を見る限りでは当然水路式ではなくダム式発電なんだろうけど、運用が

 ○調整池式
  電力消費の少ない時間帯に水を貯め込み、多い時間に放出して発電する。安定供給型。   
 ○貯水池式
  春・秋など水の多い季節に水を貯め込み、少ない季節に放出して発電する。定期型。
 
 の、どっちなのかわからないですね。
 つーか、この二つも違いがかなり分かりづらい。使われるタイミングの差、程度にしか僕には読み取れない(^^;) まぁ運用による区分なんだから当たり前かもだが。一応英語でも表現は異なるからもっと明確に定義差はありそうだけど。以下は参考URL。
 
電気事業連合会
 左のリストでアニメーション付の画像が見られます。
 http://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/water/index.html

資源エネルギー庁
 http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/hydroelectric/mechanism/use/
 
 
 タイへの電力輸出用らしいけど、どういう契約なんでしょうね?
 
 余談ですが。
 日本は地続きの国が無いのでこういった電力輸出はしにくいですけど、「発電船」なるものが注目されています。なにかっつーと事故が事故が! 災害時災害時!という日本からすると、フェイルセーフ手段があり機動力のあるこういったものは魅力的でしょうね。大昔、戦艦長門だったかな?が、災害時に発電船になったことがあったような。原子力空母なんかも災害時の緊急電力供給手段としては想定していますしね。
 
・トレンドニュース速報さん - LNG発電船とは?
 http://trend-news-to-you.com/lng-vessel-hatsudensen
 
・水上原子力発電所Wikipedia
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E4%B8%8A%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
 
 
■情報源の探索
 最初に書いたように、最新の情報を探すのが結構大変でしてね。最初は名前すら調べるのに苦労するとは思わなんだ。
 というわけで、今回の情報源のひとつ・ニュースサイトであるBLOGS(http://blogos.com/article/314299/)の記事が参考になりました。 
  
 韓国の手抜きうんぬん、というのが多くのニュースの焦点になりがちですが、まぁ僕はそのへんの韓国叩きにはあまり興味ないので触れないでおきます。なのでこの記事も他で取り上げてるようなことはあまり書かない方針です'`,、('∀`) '`, 
 しかし分析や情報収集に関しては大歓迎ですので、ここに書いてるお話は少し興味深いですね。ボーナスのくだりもそうですが、僕が一番興味深いのは「第二の黒四ダム」のこと。韓国が日本を意識したか、とかいうのは果てしなくどーでもいいですが、ポイントはその情報源。
 
 建設通信新聞https://www.kensetsunews.com/
 そういうのもあるのか!(ちなみにその記事 https://www.kensetsunews.com/web-kan/70651
 
 僕も事故当時、ラオスのダム建設ニュースの方面から情報を探したりしたのですがうまく見つからず、頭を悩ましたものでした。
 たしかに建設業界は関わる人間が多いんだしニュースが盛りだくさんだろうから、こんな新聞があるのは当り前ですわな。農業新聞だってあるくらいなんだから。つーか、よくよく考えてみれば経済新聞だって凄まじく売れているインディーズ新聞みたいなもんだ。そんな新聞いくらでもあるだろう。俺はアホか。
 ともあれ、新しい情報源を得るいい機会だったので、忘れても思い出せるように記しておく。
 
 それはさておき、この第二の黒四ダムの記事、けっこうおもしろい。これ新聞だぁ、って感じ。やっぱまともな情報得ようと思ったら新聞なり何なり、有料のものじゃないとダメかな。無料ニュースで情報集めるのにそろそろ限界を感じてきた。