アスラクライン

・アニメ
アニメの脚本があんまりにもアレなんで、むしろ気になってしまいました。当然ですがロボット野郎の僕はそこばかりに目が行きます。ロボがCGのわりにはけっこう爽快感や力強さを持って動いてくれるので意外と気にいってます。部分部分が手描きなのもいいなーと。先日はとうとうクロガネとロードナイトがそれなりの頻度で手描きだったので、嬉しさのあまり小踊りしてしまいました。今やサンライズアニメ以外での手描きロボットは貴重ですからね。
この脚本家さんはキャラクターを描くのは上手に見えるんですけど、ストーリーとか世界観を説明するのが苦手みたいですね。ちらほらとネタを見る限りでは、素材は良さそうなのにもったいないなぁと思えてしまいます。作画は頑張ってるし、動画も良い(もはやベルカ式作画はセブンアークスアニメの中で楽しみの一つです)。演出や音楽も気合が入ってる。あと脚本が演出方向ともっとコンビネーション取れれば、更によくなりそうなんだけどな。まぁそういうわけで原作はどんななんだと思って買ってきたわけですよ。

アスラクライン (電撃文庫)

・原作小説
といわうけで一巻を読みました。個人調べではラノベのわりにSF用語がそこそこ飛び出してくるらしいということ。ロボットが出るということ。この二つが主な購入動機です。まぁ最新刊あたりの展開が気になったっつーのもあるんですけどね。
心理描写なんかはやはり小説媒体に優がありますね。意外だったのが、智春がけっこう余裕あるなと。首を締め上げられてんのに「とんでもない美少女だ」とか、おっぱいに顔を埋めて「窒息しそうだけど最高だ」とか、どんだけ紳士なのかと(笑)。まぁ悪い意味で緊張感ねーなぁと思いますが、逆にとっつきやすいです。そもそも序盤からそんなことされても読んでるほうはテンション上がりきりませんしね。
文章はクセがあまりないので読みやすいみたいです。アニメ見たときは、この制服デザインありえねぇとか思いましたけど、それなりに設定が入っていたので受け入れられたし(ただし妥協的な意味で)、ツッコミどころはありますが細かいところに気を配っているのが感じられるくらいに好感触です。注目すべき点はなんと言っても、操緒の役回りが結構大きいこと。幽霊という劣った立場にも関わらず存在感があります。ここぞというときに黙って主人公を支えてくれる、正に嫁！　最近ではあまり使われない幼馴染ヒロインというポジションが絶妙です。その一方で、ということは最終的に彼女から離れることが、智春にとっての成長になるんだろーかなーとぼんやり思ってしまいますが…。
もちろん問題点もあります。事態を押し付けられて右往左往している巻き込まれ型主人公なだけに、要求しても誰もろくに説明してくれないというのが読者から見ても不親切です。これから仲良くなるプロセスを描く上では効果がある手法かもしれませんけど、その前に読者が嫌ってしまうリスクの方が大きい気が。まぁそこんところは今後引き込んでいくんでしょうけど、もうちょっと伏線なりキーワードなり含めてもいいんじゃないかな？　こういうのって読者の読解力に依存するので実は地味にあんばいが難しいんですけどね。

・原作とアニメ版を比較してみる
第一巻とアニメ相当話である1〜3話を比べてみると、アニメでは操緒分より奏分の方が強いかなーと。というか奏のボケっぷりが強調されてる気がします。操緒の出てるシーンがアニメでは若干少ないし。もっとも、一人称で話が進む小説のほうは文章形態として本来は一人で黙考しがちなのですが、操緒が四六時中くっついてるので寂しくない印象ですね。その分、彼女がいなくなった時の喪失感は大きい。アニメではそこを丁寧に描けなかったせいで、智春にとっての操緒の重要性がわかりにくかったかも。その分、ヤケ気味になりながらも一人で頑張って行動する主人公らしさみたいなものがありましたけど。
ただ、3話で一巻の内容をやれと言われたらああいう構成にならざるを得ないと感じます。同時並行で話を進めつつ、時間を稼ぐために可能な限り説明を省いて、キャラの個性を紹介し、これはロボットアニメだと認識させるためには、多少アクロバットな方法でやらないと難しいかと。そういう意味では操緒とのデートを初めとするエピソードの削減は仕方ないかなと。アレンジも強めに入れるしかないかなと。まぁそれでもやっぱりもう少し丁寧に話を作れた気もします。それこそ間を感じさせる役者さんの演技とか、些細な動作や表情などの演出とかをもっと脚本の段階で考慮されていれば。少なくとも1話の終わりと2話の初めをちゃんと繋いで違和感を薄めることくらいはできたはず。
次の二巻の話がアニメでは大きく改変されているらしいので、問題なのはそっからなのかな？　まぁ今後はアニメのほうの感想も書いていこうかな。つっても、もうすぐ終わってしまうけど……噂通り分割二期だったらいいねぇ。