GブレイカーのSpecNote

日々の雑記とメモ。スペックがわかるほど量を書いてませんがね。

劇場版 艦これ 超今更感想

 過去の感想を振り返ってみると、劇場版の感想書いてないじゃん(^^;)と今気づく。まぁテレビシリーズもそんなに書いてませんでしたけど……PCでブルーレイ見れなくなったのが悪い。あと友達と見に行ってから書こうとか考えていたような気がする。
 
 先に言っておくと僕はアニメ版が好きなのでそういう立ち位置側で書く。まぁ今更検索して読むやつもおるまいが。僕はアニメ版については好きな人としか会話したくないスタンスです。好きな人はどうぞ気軽にお声がけください。嫌いな人やネガティブコミュニケーションだけをとりたい人はお引き取り下さい。「この内容ならこういうシーンも見たかったね」とか、そのくらいなら全然かまわないですけど。
 
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 劇場で二回、ブルーレイを購入して四回かな? こうして数えると結構見ましたね。4DXは見ませんでしたが。ではまずストーリーを振り返りましょう。
 
 深海から現れた謎の敵対勢力『深海棲艦』に対する唯一の対抗手段である第二次世界大戦当時に活躍した艦船の魂を持つ『艦娘』。その特型駆逐艦一番艦・吹雪の成長と戦いを描いたテレビシリーズから少し時間が経過し、第二次世界大戦の激戦区のひとつであり多くの艦船が沈んだソロモン諸島方面――通称・鉄底海峡(アイアンボトムサウンド)での吹雪たち艦娘の新たな戦いを描く。
 物語は重巡洋艦・鳥海率いる第六戦隊が敵泊地に夜襲をしかけ、テレビシリーズでその命を失った駆逐艦・如月が発見されるところからスタート。艦娘たちの運命と、戦いの根底にある真相に近づいていく。
 

 
 とまぁ、ファンからすれば説明不要のお話でございます。
 
 まずは軽く雑学から。ソロモン諸島の位置は世界地図を見ていただくとして、舞台の名前である鉄底海峡という呼び方がなぜあるのかというと、このあたりで戦闘で艦船がたくさん沈んで、海の底は鉄だらけ(アイアン・ボトム)だから、ということですね。それほどの激戦区だったという表現ですね。
 実際の現実問題として船のエンジンを動かす重油なども残されたまま沈没し、経年劣化でタンクが破損して垂れ流しになっているため環境問題になっているそうです。
 
 ではサウンドとはなんじゃい?ということですが、まぁそのまんま「海峡」の英語です。勉強になりましたね。
 ……が、ちょっと待てと。なんでそんなんで皆納得できるんだ、と思った2014年くらいの僕が調べてみたところ、サウンド(Sound)とはスウェーデンデンマークにある「エーレスンド海峡」が語源らしく、そこから英語圏に伝わる際に「サウンド海峡」という名称が生まれ、後に海峡=サウンドになった、ということみたいです。
 つづりは同じですが「音(Sound)」ではないんですね。まぁそもそもスンドが海峡って意味みたいですけどね。日本語に訳す際に「エーレ海峡・海峡」になってしまった、あるいは誤用が広がってしまった、というところでしょうか。よくある話です。
 改めて検索したら、僕より少し早い時期に似たようなことを調べている人がいたようです(笑)のでペタリ。
 
 URL:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13130427838
 
 以上雑学終わり。
 映画自体はおもしろかったというのが僕の評価です。ブルーレイ買ってますし、映画館にも二回行ってますしね。4DXも見てみたかったです。
 

■バトルシーンについて
 まずはおもしろかったところからいきましょう。
 
 バトルアニメですのでやはりそのあたりは見応えがあります。TVシリーズでは第3話でのW島攻略戦は本来夜戦による奇襲の予定でしたが、敵に発見されたため昼の戦いなり、以降は夜戦はありませんでした。なのでまず最初の六戦隊の戦いは新しい戦いが始まった表現として、夜という舞台が選ばれたのは正解ですね。大戦時に吹雪が沈んだのも夜戦ですし、早くも因縁を予感させますね。
 隠密行動、照明弾、探照灯と戦術がバラエティ豊かで敵もそれへの対策をして、と解説を絵で含めつつ、ケレン味のきいた天龍ちゃんの刀剣による防御とか、回避行動などで隊列が崩れたところを逆に利用して回り込んだり、旗艦の鳥海が被弾したらすかさず古鷹が庇う位置に移動し、加古がしとめる……などなど戦術描写は細かいところで見ごたえあります。
 この戦いに限らず、バトルシーンは大半が手描き作画で行われているのもポイントです。テレビシリーズではさすがにキャラも一部CGで描写していましたからね。
 これは艤装のみが3D、あるいは上から手描きでなぞる、などをやっているかもしれません。古鷹あたりは描くの間違いなく大変ですからね。
 テレビアニメもそうですが、基本的に映画も序盤のシーンに最高のパフォーマンスを投入するのでかなりレベルの高い戦闘シーンになっていると思います。
 鳥海の最初の「撃ち方、はじめ!」のシーンは初期のPVから実は描き直されていたりとかね。まぁ宣伝用に先に上げただけなのかもですが。
 
 中盤、昼戦は空母の皆さんも活躍で。平面的な戦いになりやすい水上の戦いに、三次元を付け足す航空戦描写などは見ごたえあります。パイロットの妖精さんが「ダイブを仕掛けるぞ」と僚機に指をツンツンと下に向け合図を出して、それに了解と翼を振って応えるあたりは雰囲気あっていいですね。
 このへんは原作者の田中Pの脚本が生きているのかもしれません。
 瑞鶴が発艦させた機体に撃墜マークがたくさん付いていたり、機体が烈風?だったりと結構芸が細かい。まぁその一方で瑞鶴さんがスライディング気味なポーズで走ってたりしてなんかおもしろいですけどねw 赤城役の藤田さんだったかな? 舞台挨拶の時にこの子が、木の上でポーズとって座ってたのが気に入っている、などといって笑いを誘っていたのを覚えています。僕もなんじゃこいつはwと内心笑ったのを覚えています。瑞鶴はいるだけで笑える。ずるい。
 
 あとは大和の砲撃に使われてる火薬量が多すぎて夜空が赤く染まるシーンとか、ああ確かに大戦当時はこんな感じだったのかもなーと思わせるシーンも。無線封鎖中で判断に悩んだりとか、比叡の決死の探照灯照射とか。
 敵に囲まれても冷静な戦艦姉妹、死を覚悟する川内と、涙目になって怯んでる暁との対比とか。進軍している艦隊の方も敵に遭遇し、加古が遭遇してすぐ被弾して戦いの激しさを煽り、その一方で夕立が躍り出て魚雷を叩きこんだり(ここ3Dですけど良い動きしてます)このへんは通してBGMも良い。
 戦闘シーンのテンポや盛り上げ方は相変わらず上手だなぁと。バトルで余計な台詞はいらねぇんだよ!と、このへんはやはりバトルアニメを作ってきた草川監督ならでは、ということかもしれません。劇場版ならではのサービスシーンですね。
 艦これの戦闘シーンはテレビ版も含めてアニメ好きには結構おすすめしたいですね。次々とシーケンスが進んで行ってスピード感あって気持ちが良いです。
 
 終盤、如月が参戦した戦いは若干作画の質が落ちるのですが、たぶんこのあたりは同じアニメーターがずっとやってるのかな、と。煙や炎の目が細かい描き方が特徴的で、そのぶん動画の方に力が入ってる感じです。作画が息切れしているというよりは、癖が強めに出ているシーンと捉えた方が正しそう。
 好みは分かれるでしょうが職人芸として楽しめますね。
 ちなみにこのシーン、睦月が顔面掴まれて海面に叩き付けられるシーンの髪の毛の描き方なんかがすごく細かくて密かに気に入っています。マニアックですね。
 あとほんの数フレームだけ映る、大和が倒れ込んだ時のおっぱい!とか。このアニメ、とにかくおっぱいの主張が激しい。
 
 バトルとはちょっと離れますが、作戦会議のシーンを念入りにやっているのも好感触です。現状分析を偵察を出してまでしっかり行い、対策を講じて編成を組む。
 このあたりはまさに艦これですね。
 僕がこの映画で一番好きなシーンが出撃シーン。日の出と共に「全力出撃」とサントラにも書いてある通りの曲がガーン!と流れ、サイレンと共に名乗りを上げて出撃していく。作戦はこうだ、と説明して目標と役割をわかりやすくしているのも見やすさのひとつ。
 作戦参加艦娘の映像と共に説明されるわけですが、それぞれポーズと表情で性格を表現していたりするのもまとめて色んな子が見れてオイシイ感じ。なんか微妙にアンニュイな顔してる鈴谷とか、なぜいる敷波とか、チョイチョイわからんところありますけど、まぁそれも色々考えてみるのもおもしろいし、艦これらしいかなと。蒼龍はこの時の絵が一番のお気に入りです。
 実は那珂ちゃんがはっきり喋ってるのがわかるのはこのシーンだけというw 舞台あいさつで中の人も「台詞たくさん収録したのにカットされまくった〜」と笑っていたのを覚えています。
 
 そして終ぞ使われなかった長門の3Dモデル!(テレビシリーズでは最終話の帰還シーンでしか使われなかった)
 
 
■ドラマについて
 さて、お話の部分です。
 ストーリー面においてはともかく、ドラマ面においては吹雪の出番は少なめ。主に睦月と如月との関係が描かれていましたね。
 このへんはテレビシリーズでの宿題と言いますか、睦月だけ成長しきれていなかったことへのフォローなのかなと。まぁこのへんはもともと如月は最終話で戻ってくる予定だったんじゃないか?とか僕は思ってるんですけどね。最終話は本放送時のデキが素人目に見てもおかしかったので、予定変わって急遽作り直したのかなーと。わかりませんけども。
 アニメ版のテーマの一つとして何度でも繰り返しやり直して頑張る、というところがあります。艦これはまさにそういうゲームですから、やはり艦これのアニメなんですね。吹雪は何度でも立ち上がって走ってきたように、睦月もまた如月との関係に繰り返し頑張らなければならない。
 別れて、再開して、また別れて、再開する。何度でもやるんだ、と赤城が言っていたように、最後はみんな無事一緒にいるのだ、というところで閉幕。
 ドラマ重視だったアニメ版艦これの終わり方としては納得できる落としどころです。
 
 吹雪の方はある種、成長したヒーローその後、みたいな話で。既に一人前になった吹雪には誰もあえて特に言うことは無く、大和との会話で自分の存在意義や戦う意味を確認し勝利に導くというものでした。
 これは僕の考えですが、あくまで今回の戦いは吹雪がピースだっただけで、違う戦いではまた違う艦娘が「希望」になるのかなと思います。そういった余地は残しているような気もします。なんとなくターミネーター4のラストを思い出したのは僕だけでしょうかw
「水平線の向こうから嵐がやってくる。今回の戦いは勝利したが戦いはまだ続く。私の名は吹雪、未来は自分の手で変えるものだ」
 
 僕はアニメ版最大の功績は吹雪と大和のバディを描けたことだと勝手に思っていますので、夜の砂浜のシーンだけでご飯何杯も食べられます。劇場版BDの特典のタペストリーもしっかりかざってあります!
 友人とこのシーンを見ながら、大和デケェよ!いや、吹雪がちいせぇのか?www大和の立ち膝の間に吹雪すっぽり入るぞ!wwwって話したのが楽しかったです。空を見上げ「何のために戦うのか」と語り、そして「それを希望、というのかしら」という大和の表情がとても良かったです。作画良いです。このシーンのフィルムあったら欲しいくらい。夜の海を座って眺める二人の背中はCMでも使われましたが、良い絵です。
 
 ラストは朝焼けで黄金に輝く海と吹雪の笑顔で作戦完了、というのも吹雪のお話の締めとしては良かったですね。吹雪は最後やっぱり笑顔じゃないとね。走ってるシーンも見たかったなぁ。
 
 
■サービス要素について
 まー艦これアニメの特徴のひとつといったら、背景の後ろにいる誰か探しですよ。
 ちとちよがいたり、金剛型では背景要員になりがちな榛名がいたり、実は島風もいたり、ゲスト出演の天津風がいたり(小倉唯艦は天津風だけ)。妙高型もいたり(公開当時種田さんは休業中だったけど明石などにちゃんと台詞はあった)。
 前述の出撃シーンのキャラ総出もある種サービスですよね。
  
 お色気シーンはありませんが……全体的に前半はとにかくおっぱい!って感じだったのでいいのかな。あー、翔鶴が結構な露出マッパ描写になってたか。
 
 
■不満点
 そりゃあ不満がないってことはないですよ。
 
 例えばラストバトルがちょっと食い足りないとかね。戦った末に、どう攻略すればいいのか気付いてほしかったかなと。ようはFF4ですからね。「剣を納めて耐えるのだ!」「正義より正しいことよりも、大切なことがある!」と。
 吹雪が今まで積み重ねてきたものがあるからこそ、こういう結論にたどりつくのはわかるんだけど、ならば赤城の「今までやってきたことを思い出せ」の台詞を入れるとか、回想をチラッと入れるとかあった方がもう少し呑み込みやすかったかな。砲火を交えれば「自分たちが倒れずに深海棲艦を撲滅する」という目的に一度傾くこともできただろうしね。その上で、そのやり方じゃダメだ、と気づければ吹雪なりに戦う意義を見出して逆転劇に持ちこめたと思うのだけど。
 このあたりは恐らく花田脚本の特徴である「明確な悪者を作らない」「衝突は極力避ける」というのが働いているのかな?とも思いました。無論、テレビシリーズとは別に映画館でやるということは「この映画しか見てないよ〜」というお客さんへの配慮もあるのかもしれませんが。
 単純なファンとしては赤城への呼び方は「赤城先輩」ままであってほしかったなとも思います。対等になったから「赤城さん」になったのかもしれないけど。
 
 最後の帰還した吹雪の気怠さを感じるテンションも、わかるような気もするけどちょっとよくわからなかったという状態だったんですけど、吹雪の視点では自分の気持ちが相手に届いたかわからないままの勝利だったのかな?と、何度か見てようやく落としどころを見つけました。
 
 仲間のみんなが死ぬビジョンを見て、場合によっては仲間を死なせるためにここへ導いたともいえ、そして自分も死に、如月のように繰り返す。
 その中で大和の言葉であった「私たちの戦いには意味がある。それを見つけること自体が、希望なのだ」という本当の意味に気づき、敵からも「役に立たなかった特型駆逐艦だったが、それを拒んだからおまえが生まれた」と凄まじいヒントをもらい、艦娘の存在そのものが希望なのだ、と気づく。その希望の根底にあるもの自己否定という悲しみなのだ、と。
 そして何度でも立ち上がってまた歩き出せるのだ、と吹雪が歩んで来た人生そのものを伝えることで撃破するわけですが――
 しかし、深海吹雪側の視点では受け入れてもらえたことがわかっても、吹雪本人は本当に希望になれたかどうかはわからないわけで。深海吹雪に受け入れてもらえたのかもわからない。
 だけど、加賀や赤城、生きていた仲間たちに迎えられ、そして呪われた海が輝かしい海になることで、「ああ、ちゃんと前へ進んだ意味はあったな」と認識してようやく笑顔を向ける。
 
 とまぁこんなところでしょうか。感覚ではわかっても言葉にするのはなかなか難しいです。
 
 あとは、まぁ欲張りを言うと。吹雪の沈没には古鷹が関係しているので、二人の会話が見たかったなぁとか。キャラ紹介している時間は無いからしょうがないのかな。テレビシリーズで睦月と如月の話が片付いていたら、あるいはあったかもしれませんね。
 続き物として見るのが正しいけど、そのわりには結構独立した部分も多く、ちょっとどう見たらいいのだろうか、と悩むことがちらほらと。
 吹雪の前の鎮守府の回想とかテレビシリーズの頃にありましたけど、矛盾までは行かないにしてもちょっと怪しかったりとか。
 このあたりはドラマが得意だけど、世界観や設定、はては過去の描写のフォローが苦手な花田先生の部分なのかな、という気もします。下手とかではなく、気遣いが足りていない。
 もちろん気付いていたけど今は他に手段が無い! そこに尺割いても意味がない!ってこともありえますけどね。
 
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■最後に
 こんなところでしょうか。
 他にもたくさん思ったことあります。
 やっぱ背景が凄い綺麗、特に空と海の青が凄く良いよなーとか。
 BGMはいい仕事してるなー、でもテレビシリーズで散々聞いた例のテーマ曲はやっぱり入れてほしかったぞ、とか。
 おい、榛名全然喋ってねーぞ! 暴動起こすぞコラ!! PVで会話シーンあったじゃねーか!とか。
 他の特I型も見たかったなーとか。
 僕はこれを見てイケメン加古の魅力に気付きました!とか。
 撃沈の際のお約束の目へのズームが大和で起こったときはヒヤッとしたぞとか。
 
 元々映画好きなこともありますので、とにかく楽しかったです。テレビシリーズも見てて色々考えたり、隅々まで探したりと楽しい作品でしたので、お金を払った以上に楽しかったです。
 
 いつか続編が見れたらいいなーと思います。今すぐやってもいいのよ。何度でも、何度でも。繰り返しやるがよい。いつか好きな人と出会えたら良いなぁ。
 
 
 
 
■おまけ
 実はBD発売日に届いたはいいんですが、ケースのメッキ処理?の部分がガリッと剥げてて悲しいことになってたりと、変な思い出もあります(苦笑)
 DMM通販に電話して交換してもらいましたが、損傷の説明が難しいのなんの。あれからもう一年ですね。
 一七式の追加シーンは、ほんと追加シーンでしたね。まぁ終盤の仲間が沈むビジョンが微妙に違ったりするんですが……気付かねーだろコレw