GブレイカーのSpecNote

日々の雑記とメモ。スペックがわかるほど量を書いてませんがね。

劇場版シュタインズ・ゲート 負荷領域のデジャヴ 感想

 初日の一発目に見てきたのに、色々頭の中で整理してたら感想書くまで時間がかかってしまった……。おもしろかったよ! 正直に「あ、これ次回作見たい! やった方が良い!!」って思ったよ。ネタバレ注意してね。
 
 
 
 
 
 
 
 今回は紅莉栖が主人公。オカリンの話はTVシリーズである本編で終了しているので、ヒロインでありながらもう一人の主人公のような立ち位置にいた紅莉栖がメインで話を引っ張ることに。
 正直に言えばオカリンの話が見たかったんだけど、今回は良い意味でラボメンや紅莉栖との関係をクラッシュし、再構築した印象だったので、紅莉栖が主人公で正解だったと思う。でないと、こういう話にならない。
 
  
 今回の事件の内容をまとめるとこういうことだと思う。
 紆余曲折の末シュタインズ・ゲート世界線にたどり着いた岡部倫太郎だったが、様々な世界線を経由し、リーディング・シュタイナーにより記憶を共有してしまったがために、SG世界線にある歴史との多くの矛盾を抱えてしまう。そのため、岡部とSG世界線との因果関係が希薄になってしまい、岡部が自己を観測できなくなったため、SG世界線から0.000001%ズレたR世界線に迷い込んでしまう。
 デジャヴとリーディングシュタイナーの関係に気付いた紅莉栖は、消滅した岡部のことをおぼろげながら思い出し、再びタイムリープマシンを開発。そして未来の紅莉栖の使者(正確にはダルだと思うが)としてやって来た鈴羽と共にタイムマシンに搭乗し、岡部とSG世界線との因果関係を強力にするために時を超える。
 その方法とは何か――。
 
 
 というわけで、その方法こそクライマックスにやってくるわけだが、、ようするに2005年の子供の頃の岡部は、子供の頃の紅莉栖と駅のホームで会っていたということで、それを利用してファーストキスをした記憶を作ったということだね。
 アニメ版では22話で岡部が「ファーストキスはロマンチックなものではなかったが…」と言っており、これは原作通りで、岡部の主観ではまゆりとふざけあってした、ということなのだけど、アニメ版では紅莉栖(視聴者)の主観では誰としたかまではわからない。
 だからキスの相手を紅莉栖にして過去改変しても紅莉栖の主観上では矛盾は発生しない――すなわち、アトラクタフィールドの収束は起きないということだね。(追記:↓のコメント欄も参照のこと)
 
 仮に原作版の設定どおり岡部がまゆりとしたことになっていたとしても、それはβ世界線の岡部倫太郎の話で(現在の岡部は元β世界線人の現SG世界線人)、世界線漂流してきた現在の岡部自身は「SG世界線の岡部倫太郎がファーストキスをした相手を誰か知らない」ので、紅莉栖がキスしても矛盾は発生しない。
 SG世界線の岡部が仮にまゆりとキスしていたとしても、紅莉栖と元β岡部がそれを知るにはまゆりから聞くしかないが、そんな描写はないし、岡部がそれをわざわざ確認するとも思えない。
 つまり、まゆりだとこの手段で使えないから、やっぱり紅莉栖が観測者にならないとダメってわけだね。よし、説明付いた。
 
 
 いやー、まさかあの22話を伏線に持ってくるとは思わなかった。あれは素直にうまいと思ったね。これは原作ではできない。アニメ版ならではの展開。素晴らしい! 劇場版自体、TVシリーズをなぞってる部分がいくつかあったけど、ここがその収束点と言うにふさわしい。こちらの状況も雨の中という。
 同時に私が前から予想していた、観測者の記憶との矛盾が起きなければ過去は自由に変えられる、というのは正しかったということだな。
 ってことは、オカリンが紅莉栖を助けてSGへ移動したように、最後の紅莉栖はSG世界線からわずかにズレた別の世界線に移動したってことなのかな? オカリン主観ではRSで気づけるから、問題はないけど……。
 
 最後の無人秋葉原にいる岡部を紅莉栖が発見した、というふうにも取れるんだけど、あのシーンは実は岡部の主観では、過去改変により記憶が変わり、そのきっかけが紅莉栖だったから岡部が最初に見ることができたのは紅莉栖であり、紅莉栖を頼りに岡部は自分のいるべき世界線を手繰り寄せた(再構築した)、とかそんな意味もあるのかなと思ったり。
 まぁ最後の二人のやりとりが最高だからどうでもいいんですけどね。TVシリーズでもそうだったけど、宮野氏の演技は全編通して凄すぎる。視聴者に感情がダイレクトに伝わってくる。この人の芝居を見るだけでも価値があるくらい凄い。
 
  
 引っかかりそうな謎の大半は、ややこしいが
 
・誰の主観か
・この岡部はどこの世界線にいた岡部か
・この紅莉栖はどこの世界線の紅莉栖か
・誰がどの記憶を持っていて、誰とそれを共有しているか
・紅莉栖の目的は「現在の岡部にSG世界線の住人であると自覚させること」
 
 を覚えておけば、大体説明が付けられる。
 せいぜい、最大の謎は「紅莉栖が子供の頃、岡部のいる町にいた理由はなんだったのか」くらいだけど、これはあまり気にしなくていいだろう。ラブロマンスでよくある「実は昔〜」ってやつだな。なんというありがちな都合のいい設定。嫌いじゃないぜ。
 いや、待てよ。「この時間の岡部がどこに住んでいるのか知らない」みたいな台詞が紅莉栖を言っていたけど、あれは紅莉栖自身が昔あの町に住んでいたって意味なのか? なんか不自然なセリフだなぁと思って引っかかっていたけど……。
 そういえば、表札を見るシーンがあったけど文字は「牧瀬」だったような……? 自然すぎてサラッと見逃してしまった……まずい、もう一回見て確認しないと!
 
 あ、どっかで疑問に思ってる人いたから一応説明しておくけど、紅莉栖が駅で服装変わったシーンがあったけど、あれが子供の頃会っていたという意味でしょ。紅莉栖の背も低くなってたし。尺とテンポの都合だぁね。だから紅莉栖は2005年を選択したってことだね。
 
 
 今回のお話で、ようやくハッキリと紅莉栖やラボメンの心情が描かれて、孤独だった岡部との繋がりが強化されたと思う。今まではどこか岡部からの一歩通行気味で孤独な感情部分があったわけだけど、これでちゃんと“仲間”になったよね。
 今までの関係性を見直し、クラッシュして、やっぱりこのメンバーが良いんだ! それは岡部だけじゃなくてみんなが等しく思ってることなんだ!というふうに感情が、収束していくところはグッとくるよね。それを象徴するのが「鳳凰院凶真」だというのが、なんとも笑えるところ。だからこそ、続きが見たい! 次のステップに行ったラボメンを描いてほしい。そして今度こそ岡部が主人公で四苦八苦する話を再び!(本音) いや、やっぱりシュタゲは岡部がいなきゃダメなのよ。あいつが悲惨な目にあって何度くじけても蘇り、激闘の末に勝利をつかむ話がないと。
 
 映画館では笑いどころで結構笑い声が漏れていて良かったね。紅莉栖が巻き舌で「るぅか子ぉ」とか言っていたシーンがなんつーか、見てる我々もラボメンとの一体感みたいなものを味わえて面白かった。この作品は是非、映画館で見てほしいね。
 あ、意外と女性客が多かったのが気になりました。SF作品ですけど、ラブロマンスとして見てるのかな? 難しい部分の話は分かるのかな?とも思うけど、それでも見てくれてるんだなぁとちょっと嬉しくなりました。
 
 
 ただ、一個だけ修正してほしいところがある。
 紅莉栖がタイムリープしたときに携帯電話を手に持っていてほしかった。そこだけがどうしても気になった。本編でもしつこくやっていたシーンなので見逃さないでほしかったなぁと。まぁ説明はいくらかつけられるんだけどさ。やっぱりタイムリープを象徴するシーンだし。
 
 ファン向けの内容で、OVAの追加エピソードとひとつで見た方がきっと良いだろうって感じだから、是非とも復習してから見てほしいね。特に22話!
 さて、もう一回見に行くぞー。