GブレイカーのSpecNote

日々の雑記とメモ。スペックがわかるほど量を書いてませんがね。

神林長平 「戦闘妖精・雪風」 感想

今更ながら読んだ。非常に面白かった。私はメカをストーリーに出すなら、メカと人間の話を必ず入れるべきだと思っているので、この手の話は大好物でした。描写が細かく、それでいて読みやすいし、わかりやすい。個人的には天田少尉の話で、ブッカー少佐が人工知能と対話しているシーンがお気に入り。でもファーン2のブーメランみたいな飛行ってのはどうなんだろうか(^^;) 実際ぶっ飛んだ飛行だからオドンネル大尉は死んだんだけどさ。ところで素人意見だけど、無人機だったら、飛行機はあの形してる必要はないのかなぁ? それこそブーメランみたいな機動をできるんだったら、もっと他のこと出来そう。まぁあんなことしょっちゅうやるわけじゃないんだけど。
雪風は零を助けるために排除したのか、人間はいらないから排除したのか、どっちとも取れそうだけど、話の流れからすると後者なのかな。個人的な趣味としては前者のほうが好きなんだけどね。もっと言えば“どっちも”かな。
これが書かれた80年代っていうと、SFがまだよくあった時代で、これから廃れていくあたりだったのかな。SFが流行ったのは冷戦時代、不透明で良くわからない未知の敵が侵略してくる、という不気味さが宇宙人などのイメージと直結して流行した、という背景がある――なんて仮説を思い出した。別にイデオロギー的な話はさておくにしても、これもまたそういう流れの中で書かれたものなのかな。ラノベなんかとは違って、あとがきとか無いから、作者がどういう気持ちでこういう話を書いたのか推測しにくい。「そこまで考えてねぇよ」ってのが作家の常かもしれないし、「そんなもん自分で語ってどうすんだよ」「行間読め、行間」というのも常かもしれない。昨今は特に「答えはこうである」と明言しないと、読者や視聴者側が不安になる時代、なんて聞いたことがあるし、80年代の考え方とはまた異なる。そもそもこれはラノベではない(ラノベの定義もまた難しいが)。でも、ちょっと最後のほうはモヤッとした。ここで終わってても正解だとは思う。でも逆にそういう白黒つけなきゃ伝わらない、ハッキリさと曖昧さが複雑に絡み合う時代になったからこそ、続編が書かれたのかもしれないなぁなんて思ったりした。まぁそんな細けぇこたぁいいんだよ。おもしろいから。というわけで、これからグッドラック読んできます。

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)